皆さんは「のし」の正しい使い方を知ってますか?
現代は”のし”と”水引”を一緒に印刷した「のし紙」を使って、贈り物を包むのが一般的。
今回はそんなのし紙の使い方を紹介したいと思います。
「のしってそもそもどんな役割があるの?」
「「内のし」と「外のし」の違いは何なの?」
などなど、のしに関するマナーを全てまとめました。
ぜひ贈り物を贈る際の参考にしてください。
「熨斗(のし)」とは
のしの始まりは、今も高級食材として扱われている「鮑(あわび)」です。
日本では昔から祭事の際に、海産物が神仏への供物として備えられていました。
その中でも鮑は「百年の生を持つ貝」として特別大切にされていたみたいです。
そんな鮑が縁起物とされるようになったのが室町時代。
出陣前の料理に、干した鮑を木槌で打ち伸ばし末広がりに成型した「伸し鮑(のしあわび)」を添えていたそうです。
木槌で「打つ」が、敵を「討つ」にかかってるんですね。干し鮑は、戦地で保存食の役割も担っていたそうです。
贈り物に伸し鮑が添えられるようになったのは江戸時代。
長寿の象徴とされる縁起物の伸し鮑は、贈り物の折に束ねて水引で結んでいた形を模して「折り熨斗」として付けられるようになりました。
伸し鮑の包み方を”折り熨斗”と呼んでいたんです。
- 伸し鮑の「伸し」を「熨斗」に当てた
- 贈り物に添える伸し鮑の包み方を「折り熨斗」と呼んでいた
折り熨斗の形
折り熨斗の形は「真」「行」「草」「蝶花形」の4種類。
使い分けはこちら。
- 真・・・目上の人へ、または結婚式で使う折り熨斗
- 行・・・同輩や目上の人への折り熨斗
- 草・・・親しい間柄や友人への折り熨斗
- 蝶花形・・・何に対しても使える折り熨斗
のし紙の使い方
のし紙は、水引とのしが一緒に印刷された紙です。
もともとは贈り物を白い和紙で包み、水引で結んでいました。
主に和服を贈る時に使われていて、慶事には赤い和紙、弔辞には白い和紙で包みます。
印刷技術が発展し始めた大正辺りから、簡略化された今の「のし紙」が作られるようになりました。
一見簡単になったようですが、そこにも慶弔によってマナーが存在するので注意しましょう。
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慶事には「のし紙」、弔辞には「掛紙」
一般的にのしが印刷された掛紙を「のし紙」と呼びますが、弔辞には熨斗は添えないのがマナー。
ですから弔辞の掛紙にはのしは印刷されず、単純な「掛紙」を使って包みます。
- 慶事・・・のし紙
- 弔辞・・・掛紙
のし紙(掛紙)が余る場合
のし紙が大きくて包むときに余ってしまう場合。
左右どちらを上にして止めるかは、実は慶弔によって区別されています。
「慶事の際は右側が上」、「弔辞の際は左側が上」になるようにのし紙を留めましょう。
- 慶事・・・右側が上になるように留める
- 弔辞・・・左側が上になるように留める
「内のし」と「外のし」の違い
のし紙や掛紙で贈り物を包むには2種類の方法があります。
それが「内のし」と「外のし」です。
内のしというのは、贈り物に直接のし紙をかけてその上から包装紙で包むやり方。
外のしはその逆で、包装紙で包んでからのし紙をかけるやり方です。
要はのしが見えるか見えないかの違いですね。
- 内のし・・・贈り物にのしをかけてから、包装紙で包む方法
- 外のし・・・贈り物を包装紙で包んでから、のしをかける方法
内のしと外のしの使い分け
内のしと外のしの使い分けは状況によって分かれます。
例えば、内祝いやお見舞いを相手に手渡しする時。
贈り物の目的が相手にはっきり伝わるように”外のし”を使います。
内のしはパッと見何か分かりませんからね。
贈り物は基本的に外のしにしておけば間違いありません。
しかし、贈り物を配送する場合は、配達中に破れたりしてしまう恐れもあるので”内のし”にすることが多いです。
その他、あからさまな贈り物アピールをしたくないときにも内のしを使うことがあります。
- 内のし・・・控えめに贈りたい時、贈り物を配送する時
- 外のし・・・持参して手渡しする時、贈り物だと分かりやすくしたい時。